正月にゆっくり行うつもりのレストアの準備のために箱の接着部分を除く各部を解体し、内部のムーブメントを取り出しました。
CHANGE---REPEATレバーはリンク部分が外れていただけでCHANGEの位置にするとシリンダーがうまくシフトして、問題なく動作するようです。
ガラスの内蓋の蝶番を外すのに短いマイナスドライバーが必要で、手持ちがなかったのですが買いに行くのも面倒なので先の傷んだプラスドライバーの先端をグラインダーで整形して作ってしまいました。柄は10mmの真鍮棒を最近仕入れた金属加工用の旋盤で挽いてみました。
取外したムーブメントです。
部材の各部もしっかりと分厚いのでずっしりと重いです。
保存状態もそんなに悪くなかったようで櫛歯やその他の鉄のパーツも錆はほとんど浮いていません。
シリンダーは通常、真鍮の生地のままですがこれは真鍮にニッケルメッキを掛けてあるのかもしれません。
メッキがかかっているとレストアがちょっとめんどうです。
収録されている曲は6曲で全部、琴の曲のようです。私には曲名がわかりません。
レストアできたら、そのうち琴を演奏できる人に聴いてもらいましょう。
一番気になっていた櫛歯の裏面も先端にロウ付けされたダンパーが変形せずきれいに付いています。
鉛のウエイトも白い粉(酸化鉛)を吹いていないのでひと安心!
ムーブメントの各部にはオイル分も残っており、あまり演奏されていなかったように見受けられます。
珍しいので購入したが家宝?として飾られて、代が替わって蔵に仕舞い込まれたままだったのかもしれません。
シリンダーの両側面には識別番号らしき物が刻印されています。これは香箱側
こちらはガバナー及びシフト機構側です。
天板の絵は何かの木の花をバックに3つの静物が描かれているようで、その一つはクラリネットのようですが他の2つは中央部分の絵の具が剥げていることもあり、よくわかりません。
これで構造が把握できましたのでわりとスムーズにレストアできるのではないかと思います。
一番の問題は響板の割れで、交換するとなると側板に溝を切って嵌め込んであるので側板の接着部分を外さなければならないのですが、この時代なら接着剤はニカワと思いますので蒸気か湯で外せるとは思いますが、塗装があるので塗装も剥離または欠落してしまうので、悩ましい所です。
ペイラードPaillard(パイヤールとも呼ばれますが、スイス、サンクロワはフランス文化圏ですから、パイヤールの方がが正しい読み方なのかな?)は1814〜1914年までの操業で、巻き上げがラチェットレバーですから、後期の製品のようです。