いよいよラチェットの歯車の製作です。


ロータリーテーブルに主軸から外した3つ爪チャックをセットして、アーバーの先に歯車を取付け、0.6mmのサイドカッターで22.5°毎に切り込みを入れていきます。16枚の鋸刃状の歯車となります。


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16本の溝が切れたら、溝に対して50°のカットが出来るようにフライスの主軸を下げて、22.5°毎に切っていきます。
こうすることによって鋸刃状の三角刃が16枚できます。


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カットできた刃をヤスリできれいに仕上げます。


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これがけっこう根気のいる仕事でして・・・今は専用の自動マシンや転造でできますが、昔の職人さんは手で切ったんでしょうね。このラチェット歯車は性質上そんなに精度は必要としませんが、一般的な歯車はその刃の精度が命ですから、さぞかし大変だったでしょう。


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やっとラチェット機構の形ができました!
スプリングの効き具合も程よく、思いのほかスムーズに作動します。
まるで自転車のペダルをこいでいるような・・・そうです自転車の後輪のフリーホイールも基本的にこれと同じ構造です。


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歯車のボスにシャフト固定ネジの下穴を加工しますが、真鍮材を加工する場合はドリルの逃げ角を小さめに研いで加工します。それでも油断すると食い付いた場合にバイスごと持ち上げられますから必ずクランプでホールドしてから加工します。こんな細いM4の下穴φ3.2でも手では押さえきれません。もっと大径の穴加工の時はバイスの両端をクランプします。


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全ての部材が揃いました。


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軸受け部分はまだ未完成ですがだいたいの形になってきました。本来はオルゴールムーブメントと一体の形になっていればベストなんですが、そう言う訳にもいかず響板を介して取付ける形としました。


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