ツィター(チター)はオーストリア、チロル地方の民族楽器でスイスのドイツ語圏や南ドイツの一部でも良く演奏されるらしいですが日本では一般的になじみの薄い楽器です。ツィターは5本のメロディ弦と30本余りの伴奏弦があり、右手の親指にはめた金属製のピックでメロディ弦を弾き、残りの指で伴奏弦を弾いて演奏します。(日本の箏もこの仲間らしいです。)
楽器自体の厚みは薄く、演奏する時には共鳴台の上に平に置いて演奏されます。
28)


日本でもよく知られるようになったのはなんと言っても1949年のイギリス映画「第三の男」で流れるアントン・カラスが演奏するツィターの音色でしょう。


それで、なぜツィターか?なんですが、実はアンティークオルゴールの中にはこのツィターに似た音を出せる物がけっこうたくさんあるんです。
調べてみると方法は実に簡単で丸めた薄手で腰のある紙筒を櫛歯にそっと当てるだけなんです!
丸めた紙を演奏中のオルゴールの櫛歯にそっと当てるとそれらしい音がすぐに出ます!
問題は通常のオルゴール演奏との切り替え方法です。
ツィターの音も魅力的なんですがそればっかり聞いていると少々疲れますので(笑)レバー一つで簡単に元のオルゴールの音色に戻せるようにしなければなりません。
アンティークオルゴールは一般的にシリンダーや櫛歯も大きくて色々なメカニズム等もわりと簡単に組込めそうですが現代のシリンダーオルゴールは50弁といえどもアンティークに比べると小さいので手加工で作るのはけっこう制約があって難しいのです。
手持ちの素材を生かして2〜3晩寝ながら考えた方法でパーツを作ってみました。
(こういうのを考えながら眠ると実によく寝られるのです!?・・・笑)
50弁用の全ての部材です。
IMG_0183

一番苦労したのがアクリル板を引っ張るためのスプリングを掛けるフックですが、これはM2の丸皿ネジをカットしてネジの部分にヤスリを当てて平行面を作り、φ0.7の極細ドリルで穴開けをしてからさらに形を整えました。右側のギザギザが魚の目ヤスリですからいかに小さいかおわかりいただけると思います。(セクションペーパーの目は5mmです。上の写真のアクリル板の中程に付いているスプリングの固定用です。)
IMG_0182

全てのパーツを組立てたところです。紙の筒はアクリル板の先端に両面テープで接着します。
IMG_0185

早速ムーブメントに取付けて筒を接着しました。
IMG_0186

これは筒を上げて櫛歯から離したノーマルの状態。
IMG_0189

筒を下ろして櫛歯に接触させたツィターモードです。
IMG_0191

箱に収めるとこんな感じです。まだ切り替えレバーを作らなくてはなりませんが保護アクリル板に穴を開けてレバーを外に出すか、アンティークオルゴールのようにアクリル板を開閉式に改造するか悩んでいるところです。今晩、寝ながらゆっくり考えることにします。(笑)
IMG_0192