京都で有名な洋菓子屋さんの若きパテシェからカステラの焼き枠を依頼されました。
カステラは低温のオーブンでゆっくり蒸し焼きされるため、熱伝導の良い金属では具合が悪く、熱伝導の悪い木枠がいいらしいです。
国産材では桐が一番熱伝導が悪いのですが、機械強度が低く、導管が太いのでこの用途には向きません。
低温と言えども180℃位は上げるでしょうから熱による安定性も重要です。朴は錫や鉛の鋳型としても使われたようですから熱にも割れや変形が少ないようです。また朴は下駄の歯にも使われますから、強度も大きく、緻密で表面も滑らかで、この用途には最適と思います。
(また朴は弾力性にも富むので下駄の歯として好まれたのでしょう。朴より硬く丈夫な木はいくらでもありますが硬い木では石畳等の硬い路面では頭に響いて歩けません!)
本当は柾目材がいいのですが、朴の乾燥材の在庫は柾目で取れる寸法がなく、やむなく板目で木取りをしました。
木口面に基準面の方向をマーキングして手押しカンナで平面と矩を出し、一組の枠ごと、4面を一度にプレーナーを通して同一寸法に仕上げます。