ギター仙人さんから預かった鉋の修理と言うか修復を行いました。
和鉋という道具は大工道具の内でも一番難しい部類に入ると思います。
刃を研げば良く削れるようになるかと言えばどっこいそうではありません。刃をきれいに研げば「刃」はよく切れるようになりますが鉋が良く削れるためには鉋台の仕立てが大切なんです。
預かった鉋の台に下端定規を当てると案の定、平面が出ておらず、捻れも少しあります。
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台の下端の平面が出ていれば理論的には問題なく削れますが、和鉋の台は樫の硬い木と言えども使用しているうちに磨り減るし、湿度や温度の影響で変形もして来ますからその都度修正しなければ思うように削れません。
下端の平面を出すのはこの寸5(1寸5分)の小鉋でもけっこう骨の折れる仕事です。
そこで平面を維持しやすいように通常、三所当たりと言って台頭(写真左の先端)、刃口の先、台尻の3カ所10mm程度を残して台直し鉋(縦鉋)で0.5〜1mmくらいを横摺りして鋤き取ります。
つまり頭、口、尻の3点で平面になれば良いわけで面積が少ない分、修正も簡単で短時間で台直しができるようになります。
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鋤き取った台下を定盤の上に置いたサンドペーパーで摺り合わせて3点の平面を出します。
本職の大工さんや腕のいい木工家ならこれも鉋で済ませるでしょうが、ヘタに掛けるとかえって平面度が悪くなるのでサンドペーパーを使います(笑)サンドペーパーに軽く密着させてゆっくりと平均して摺ることです。(最近は大工道具店でも台直し用のペーパーが売られているのでまあいいでしょう。)
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刃の方はあまり使われた形跡がない(玄翁で打った後がほとんどない!)んですが・・刃先にはグラインダーの粗い目が残って、刃先は細かい鋸刃のようになっています!
こんな状態でも削れると思いますがこれでは仕上削りはまったくできません。
荒削りの場合はかえって切削抵抗が低くなるかもしれません!洋鉋のブレードにはわざとギザギザに研いだ荒削り用の刃があります。(笑)
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スロースピードグラインダーで水を付けながらゆっくりと研ぎ直しました。
この研ぎは刃の角度と形を整えるだけなのでこの後、ダイヤモンド砥石でさらに形を整えてから刃の黒幕で仕上研ぎをします。
合わせ金の方は
刃がきれいに研げてから合わせますのでまだ何もしていません。
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