先日、ゆのんさんの個展を見に(聴きに)わざわざ東京から来て下さったWさん夫妻のご主人のご要望でカリンをご希望の寸法に製材しました。
これは10年ほど前に中源さんの倉庫を閉じられる時に購入した材ですが、その倉庫には私が行き始めた30年近く前から片隅に置かれていた材でしたので板に製材されて銘木屋さんに来てから30年以上は経っているわけです。これは巾が60cmもあるんですが多分6mほどの長い材からテーブルトップかカウンター用に取った残りで、木裏の中心部には割れが入っています。そのためカットされた残りではないかと思います。しかし今回はアルペジョーネ※という幻の楽器の指板とテールピースに使用されるのでちょうど両端の割れの無い柾目の部分を使えばピッタリの寸法が取れそうです。
写真で上側の木目のきれいな方を使うことにしました。
まずチョークリールでカットラインを入れます。
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このままだとあまりに重たいのとバンドソーの懐がつかえそうなので丸鋸でカットしました。
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バンドソーで巾125mmに挽きます。
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手押し鉋で平面を出してその面を基準に木端を直角に削ります。
しかしこのカリン、30年以上そのまま置いてあったにも関わらず反りや捻れはほとんど無く寸法安定性は一級品です!
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プレーナーで厚みを27mmに揃えました。
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手押し鉋で出した木端を基準に昇降盤で巾を120mmにカットします。
この昇降盤の刃口板は40mm厚のカリンを使っています。(贅沢!!)なぜってやはり性の良いカリンは狂いが少なく摩擦にも強いので減りが少なく、刃口板には最適なんです。この刃口板のカリンも同じ時に買った供木です。
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指定の長さにクロスカットしました。長い方が指板、手前の短い方がテールピースです。
両端の約10cmは乾燥時に必ず細かい割れが入っているのでもったいないようですがカットします。
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Wさん、週明けに発送します。
どんなアルペジョーネができて来るか今から楽しみです♬

※アルペジョーネ
アルペジョーネはギターとヴィオラ・ダ・ガンバの間の子のような楽器でヴィオラ・ダ・ガンバのように縦に膝の上又はチェロのように脚に挟んで弓で摺って演奏する楽器です。
弦は6本でギターより大きくチェロより小さい、また指板にはギターのようにフレットがあり重音を出すことがチェロより簡単らしいです。
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画像はwikipediaより掲載

1824年頃にウィーンのギター製作者によって発明され、当時ははやったそうですが数年で姿を消して忘れ去られてしまったということです。シューベルトが1824年にこの楽器のために有名なアルペジョーネソナタを作曲していますが楽譜が出版された1871年にはすでにこの楽器は姿を消していたのでほとんどの場合チェロかヴィオラで演奏されます。(アンナー・ビルスマが5弦チェロで弾いたアルペジョーネソナタを聴きながらこのブログを書きました。・・笑)
復元楽器とフォルテピアノによるアルペジョーネソナタの演奏がユーチューブにありました。